松浦・岩本が被告側(交通事故加害者側)を代理した裁判例(東京地判令和6年3月15日)が、自保ジャーナル第2146号(令和6年10月24日発行)に掲載されました。
この事案のポイントは以下3点です。
①後遺障害(既存障害との関係)
原告は約10年前の事故による頚髄損傷で後遺障害等級7級4号に認定されていたところ、本件事故によりそれまでに改善していた症状が大幅に増悪し、後遺障害2級相当の障害を残したと主張しました。これに対し裁判所は、本件事故前後の画像所見や診療録に関する主張立証の内容を踏まえ、本件事故による後遺障害は認められないと判断しました。
②休業損害
原告は2か所の勤務先より収入を得ていたとして休業損害を主張しましたが、求釈明を受けて提出された課税証明によれば所得が存在しないこと、事故当日も飲食店にて勤務ではなく飲酒をしていたとの診療録の記載を踏まえ、稼働の立証が無いとして休業損害を否定しました。
③治療期間
原告は本件事故後約2年の治療を主張しましたが、診療録から認められる症状の推移・治療状況等に照らし、事故から約8か月を相当な治療期間と判断しました。
いずれの争点についても、診療録や収入関係資料を精査することの重要性を再認識させる判断となっています。同様の争点を含む事案のご参考になれば幸いです。