担当事案が自保ジャーナル2178号に掲載されました

松浦・岩本が被告側(交通事故加害者側)を代理した裁判例(東京地判令和5年7月31日、東京高判令和5年12月20日、最決令和6年6月27日)が、自保ジャーナル第2178号(令和7年3月27日発行)に掲載されました。

この事案のポイントは以下2点です。
①後遺障害(既存障害との関係)
原告は本件事故により頚髄損傷不全麻痺で後遺障害等級2相当の後遺障害が残存したと主張したのに対し、被告は原告の既往症を指摘した上で、原告の主張する各症状が存在するとすれば既往症や退行変性によるものであると主張しました。これに対し裁判所は、本件事故前後の画像所見や診療録に関する主張立証の内容を踏まえ、本件事故による後遺障害は認められないと判断しました。
②治療期間
原告は本件事故後約1年4カ月の治療を主張したのに対し、被告は診療録から認められる症状の推移・治療状況等を分析した上で、本件事故との相当因果関係の認められる治療は事故後約5か月間であると主張しました。裁判所は、事故から約5か月間を相当な治療期間と判断しました。

重篤な後遺障害が主張されている事案においては、適切な判断の前提として必要な医学的知識をいかに裁判所にわかりやすく伝えるか、その知識を前提にして膨大な診療録の中でどの部分に着目すべきかの判断が重要となると考えています。同様の争点を含む事案のご参考になれば幸いです。